TRPGの紹介記事でがっかりさせられたので憤りを書く

この記事。
 
【アナログゲーム決死圏】第3回TRPGの始め方…体験方法からオススメのタイトルまで(インサイド
 
インサイドなんて、TRPGを始めようって人が見るとこじゃないよ」
Wizards of the Coastから、金貰って書いた記事じゃないの?」
イードが運営しているWebサイトに、何を期待しているのか」
 
…とか、周りに言われたが、それでも書く。
 
この記事、スタートは何かというと、
【アナログゲーム決死圏】第1回 アナログゲームってなんだ?ボードゲームTRPGなど、その種類と魅力を解説(インサイド
…という記事をみかけて、「ほー、面白そうな記事を書いてるな」と期待してたんだわ。
 
うん、これ、勝手に私が期待して、勝手に裏切られた、って話なんだ。

とりあえず概ね好意的な前半

TRPGの始め方、というのは、TRPGをプレイしてて、ゲーム会を定期的に開いてる私からすると、結構、興味を引かれる話で。
期待して読み進めていた訳だ。
 
まず、今回の序文。

前回のボードゲームと同様に、TRPGも買ってから遊ぶか、遊んでから買うかが悩むところですが、TRPGが全くの未経験という方は、心に決めたタイトルが無い限り、可能であれば試しに遊んでみてから買うことをオススメします。
そして、基本的にTRPGにはプレイヤーの他に、ゲームの進行役であるゲームマスターGM)が必要なのですが、ゲームマスターを未経験でいきなりやるのは少々大変なので、初体験の時は可能であればプレイヤーで体験してみるとよいでしょう。

うん、まぁ、妥当な話だ。
TRPGは、他に比較する遊びがないので、何も知らない人に説明するのは、「サイコロを使ったごっこ遊び」とか「ルールのある、ままごと」とか抽象的なことしか言えないので、体験することが大事と言うのは、私も同意する。

TRPGプレイヤーの知り合いをあたろう
やはり一番手っ取り早い方法はこれ。もし身近にTRPGプレイヤーがいたら、まずはその人を頼ってみましょう。しかし、TRPGプレイヤーの知り合いがいないという方のために、別の方法もいくつか紹介していきます。

まぁ、これもそうだろう。
身近に遊んでいる人がいれば、そこに参加させてもらうのがいい……とは思う。
ただ、「TRPGの面白さはメンバー次第」というのもあるので、これで、駄目だったからと言って、TRPGを見捨てないでほしいとは思う。

TRPGが遊べるゲームスペースへ行ってみよう

そんな場所は田舎にはない(きっぱり)。
いきなり、都市圏以外の人は置いてきぼりですか。

TRPGサークル主催のゲーム会に行こう

これは、私自身がゲーム会を開催している立場なので、おすすめです。
 
ただ、「TRPGの面白さはメンバー(略)
なにせ「連続シナリオやってるから、その日だけのスポット参加は難しい」という卓ばっかりのサークルさんもありますからね。事前に、何らかの形で主催者さんには問い合わせした方がいいです。
 
あぁ、私がスタッフしているサークルは、「TRPGをプレイしたいけど、どう遊べは分からない」という人から「ベテランです」って人まで歓迎してます。
シナリオも、その日限りの単発シナリオだけです。
おかげさまで、初心者の方も来てくださいますし、毎回参加の常連の人もいます。
 
ベテランの方でも、友達を集めてTRPGをプレイする機会が作れない、って方は多いです。本当に多い。困ったものだ。

■オンラインセッション
TRPGアナログゲームではありますが、オンライン上でも盛んに遊ばれているので、まずはオンラインで体験というのもいいかもしれません。

よくねぇよ。
プレイヤーとはいえ、ルルブなしでセッションに参加するとは、何言ってんだ。
 
以前、ゲーム会の私の卓に、「オンラインセッションで身内相手に初TRPG・初GMをやったんですけど、ルルブ持ってるのがゲームマスターの私だけ。付属シナリオが1日かけても終わらなかったので、TRPGの遊び方を学びに来た」という女の子がいて、皆で励ました経験があります。
 
正直、私、オンセではやらかした記憶しかないので、オンセ自体に抵抗があって、おススメ出来ません。

■とりあえず買ってみて友達と遊んでみる
■リプレイ

じゃあ、「家の近くに行けそうな店や会が無かったりする人はどうするのさ」と言われても、まず、最初のセッションぐらいは、経験者とオフラインで遊ぶことを推奨します。
それでも友達と遊ぶしかない、という場合でも、それより先にリプレイを読むことをお勧めします。少なくとも、ゲームの進め方が分かりますので。

また、リプレイ動画は特に「ニコニコ動画」で盛んに公開されていますので、そちらからチェックしてみるのもよいでしょう。

うん、やめろ。
 
「アマチュアが作った動画は、プロが作った書籍に明確に劣っている」とまでは言わないけど、間違いなく物の見方が偏る。
そこは何も言わず、グループSNEや、F.E.A.R.が出版しているリプレイを買ってくることを推奨します。
 
今だと……ソードワールド2.0シリーズや、アリアンロッドシリーズのリプレイがお手頃でしょう。
大抵の書店で、ラノベに紛れて置いてあるんで。

◆選び方
とりあえず体験したら、今度はルールブックを買ってみましょう。最初は借りながら遊んでも大丈夫ですが、ゲーム中に何度も参照するものなので、継続的に遊ぶならプレイヤー1人1人が持っている方がよいでしょう。
それでは今回も、遊び始めの頃のTRPGの選び方を紹介していきます。

世界観は大事ですね。
周囲の環境は、どうでもいいですね。初心者に、なんでキャンペーンの話をしてるんだ、この筆者。
日本語化されているかどうかは、大事だけど、どうでもいいですね。国内TRPGが充実している昨今、わざわざ、日本語未訳のTRPGを手にすることを初心者に勧めるのは、どうかと思います。
ルールブック以外のもの、サプリやシナリオ本、ガイドブックは後回しでいいです。とはいえ、繰り返しになりますが、初心者なら、リプレイはルールブックより先に買ってみて、雰囲気は掴んでおくのがいいでしょう。

さて、本日のブチギレポイントが近づいてまいりました

筆者が大好きなTRPGの中から、初心者にオススメしたいタイトルをいくつか紹介していきましょう。今回もあえて筆者の趣味を全力で入れたラインナップでいきますよ!
◆傭兵ペンギンのオススメ
■「ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版」

ふざけるな。
 
あのねー。D&DTRPGの始祖だから、D&D自体が悪いって話じゃないんですよ。
「海外もの」「リプレイどころか、ルールブックを買うのにも一苦労」「ほぼ絶版」って時点で、簡易版のルールブックが公開されていることを差し引いても、初心者に勧めるシステムじゃないです。
筆者の趣味にも程がある。

■「ログ・ホライズンTRPGルールブック」

これは悪くない。というのも、小説・アニメ原作で、しかも、現時点、最も書店でルールブックとリプレイが流通していると思われるシステムだから。
「隅から隅まで読まないと、ルールを読み落とす」「斜め読みするベテランこそ理解しづらい」という難点はあるものの、初心者向けと言えると思います。
「キャラにMPの概念がない」「ヘイト管理という独特のシステムがある」というシステム面と、「MMORPGの世界に引きずり込まれてしまった」という世界観、冒険窓口での無料公式サポート、という他に並び立つものがないシステムなので、最初の一歩として遊んでみるのは、悪くはないです。

■「リアリティショーRPG キルデスビジネス」

なんで、これ、取り上げるかなぁ…あ、表紙絵も載ってないし、やる気ないんだな。
 
これ、サイコロフィクションというシリーズの第八弾ですので、世界観を見て、おもろしそうなものをシリーズからピックアップして遊んでみるのが正解です。
このシリーズ、どのルールブックにもリプレイもついてるので、一石二鳥と言えます。
シリーズ一覧は下記です。

  • ご近所メルヒェンRPG ピーカーブー
  • 現代に生きる忍者RPG シノビガミ
  • 現代に生きる人喰いの獣と闇のハンター達の戦いを描いた ハンターズ・ムーン
  • 現代の魔法使いとして魔道書回収を担当する マギカロギア
  • 現代に生きるヴァンパイアとヴァンパイアハンターの戦いを描いた ブラッド・クルセイド
  • トレーディングカードゲームが強くないと生きていけない世界 カードランカー
  • マルチジャンル・ホラーRPG インセイン
  • リアリティショーRPG キルデスビジネス
  • ハンターズ・ムーン+ブラッド・クルセイド= ブラッドムーン
  • 艦これRPG

 
特に最後の艦これRPGがおススメです。
世界観が極めて特殊で、普通ならおススメできるものではないのですが……ゲームだのアニメだののおかげで、「何か知らんが、日本の軍艦の名前つけた女の子が、海の上で戦闘してる」ぐらいは知れ渡ってるので、問題なく遊べます。
原作ものなのに、「俺の知ってる○○は、そんなこと言わない」とならない工夫が入ってるのが、いいですね。

■「りゅうたま

おっと、こいつは確かにオンリーワンだ! このゲームの目指す世界観はD&Dでの再現は困難!
でも、リプレイが存在しない! 正確には、存在するけど入手困難!
 
あまりに他のゲームとスタイルが違うので、「ゆったり会話をしながらファンタジー世界を紡いでいくような遊び方をしたい人」にはおススメですが、初心者向けかと言うと、微妙です。

■「パラノイア

あー、これ、紹介しちゃいましたかー。
 
ニコ動とかで有名なシステムで、TRPG自体に興味がなくても、「同士、私は幸福です」「貴様、反乱分子か! ZAP ZA PZAP」というセリフを聞いたことがある人は多いと思うのですが。
「ルールブックが和訳されてない」という理由で、TRPGを遊んでいる人からは敬遠されてました。
で、去年、日本語版が出て、今、そこそこ人気です。
 
でも、これ、掛け値なしに「かなり人を選びます」ってシステムなので、初心者の方は、必ず、経験者の方にGMを担当してもらいましょう。
TRPGの方が初GMするのは、危険極まりないです。ゲームが成立しない可能性すらある。

■「ウォーハンマーRPG

えーと。
都市圏では、これ、流行ってるんですか?
リプレイ本、でてませんよ?
増刷された、って、これ2006年発売のホビージャパンから出た第2版ですよね?
これ、初心者に勧めるんですか?
 
「ちょっと宣伝っぽくなりますが、筆者も出演・協力しておりますので是非一度ご覧になってみてください!」
あ、宣伝でしたか。

じゃあ、お前は初心者に何を勧めるのさ!

剣と魔法の王道ファンタジーなら、アリアンロッド2Eソードワールド2.0…っていうか、この2つを外すことはありえない。
現代異能ものなら、ダブルクロス3rd
原作やアニメを、せめてGMだけでも知っているという条件つきで、ログホライズン艦これ
 
何がいいかと言うと、この辺は、ルールブックが書店に今でも(多分)並んでるし、リプレイも書店で(多分)買えるからです。
そりゃ、いつも書店に置いてることはないにしても、取り寄せを頼めば手に入ります。Amazon頼りって、訳じゃないのがいい。
  
個人的に趣味で言わせてもらうと、剣と魔法の王道ファンタジーなら、六門世界2ndと、エンドブレイカー
現代異能ものなら、ファイヤード!
現代探検ものとして、ブルーローズ……はい、この辺、絶版だったりなんだったりで、如何に初心者向けと言えど、今時、書店には並んでいませんので、おススメではありません。
 
ホラーものとして、クトゥルフ神話TRPG
これも「お約束」が多いゲームなので、初心者がGMするのは少し難易度高いものの、ニコ動が間口になってるので、アリだと思います。
ルールブックは置いてなくても、リプレイ「るるいえ・あんてぃーく」シリーズを置いてる本屋さんは、多いのではないでしょうか。

勘違いしてほしくないこと

ゲームマスターTRPG経験者で、「今日はTRPG初心者がメンバーにいる。楽しんでもらおう」という意識があれば、どんなシステムでも、ほぼ間違いなく楽しめます。
初心者とか、そうじゃないとか、まず関係ないです。
 
先の記事で紹介されているシステムを見て、私はブチギレましたが。
恐らく筆者には、初心者を受け入れてもらえる、恵まれた環境があったのでしょう。実にうらやましい。
私とか、手探りでTRPGを遊んできた時代の人間ですからねぇ。色々と差を感じます。
 
何度か「TRPGの面白さはメンバー次第」と繰り返しますが、これ、結構大事です。
これも誤解して欲しくないのですが「経験者と遊べ」とか「上級者と遊べ」って話じゃないです。(TRPGの上級者って何を意味してるのか、未だに分かりませんが)
 
「私はTRPGのベテラン。どんなマスタリングをするのか、じっくり見せてもらおうか」とか。
「なんか、変なゲームに付き合わされてるけど、これ、いつになったら終わるんだろう」とか。
そういう、「楽しもう」という気持ちが揃っていないプレイヤーがいたら、途端にGMの負担は跳ね上がります。
 
逆に、初心者GMでも、「今日は楽しもう!」という気持ちが揃っているプレイヤー相手だと、GMの負担なんて大したものではありません。
GMの秘訣は、その「楽しもう!」の内容が、それぞれのプレイヤーで、どこにあるのか……戦闘なのか、NPCとの会話なのか、プレイヤー間のかけあいなのか、シナリオの謎解きなのか……を理解しようと努力することですが、まぁ、初心者向けの話ではありません。
 
システムの話より、初心者向けの記事には、そういう意識づけの方が大事だと思うんですがね、私は。
本当に残念な記事でした。