ペンデュラム~振り子の帝国~

 リアルタイムでワーカープレイスメントをしましょう、上手く回せたプレイヤーが次の世代の王座に座れますよ、というゲームです。

 基本部分はよくあるワーカープレイスメントそのもので、各自のワーカーを共有ボード上のマスに配置して、赤・青・黄のリソースを入手したり、そのリソースを領地や勝利点に変換したり、ワーカーを増やしたりして拡大再生産していきましょう、というものです。

 勝利者の決め方も、シンプルです。4ラウンド終了時に、4種の勝利点それぞれのノルマを達成していないと勝利者となれず。複数の人がノルマを達成しているなら、ノルマを最も過達している人が勝利者となるというものです。

 ワーカープレイスメントというと、「他の人が先着しているマスには入れない」というルールのゲームが多いのですが、このゲームでは、大と小のワーカーがいて、大のワーカーは、自分のワーカー/他人のワーカーがいるマスにも無条件で入れます。更に、「何人入ってもOK」というマスも豊富にあり、「とりあえず金でも稼いどけ」みたいな動きは出来るので、小のワーカーの行き先がどこにもない、と困る場面は少ないと感じます。


 以上を踏まえて、ようやく本題に入ります。


 このゲームはリアルタイム処理で進むということが特記事項となります。
ワーカーが入れるマスは、3つのエリアに分類されており、それぞれ、3分/2分/45秒の砂時計が支配しています。

 全てのマスは2か所ずつあり、一方に砂時計が置かれていると、他方には砂時計が置かれていない、という構造になっています。

 ワーカーは、砂時計の置かれていないマスにしか、出入りが出来ません。そして、砂時計の置かれているマスでしかリソースを変換したり、勝利点を得るという仕事が出来ません。

 整理すると、①砂時計のないマスにワーカーを置いて、仕事を予約しておく。②マスに砂時計がやってきた後、ワーカーに仕事をさせる。③砂時計が去った後、ワーカーを別のマスに移動させる、、、というのがこのゲームのワーカーの動きとなります。


 最初は大1人、小1人の2人のワーカーしかいないので、行動を見落とすことはありません。

 これが、最大の計4人のワーカーを抱えると、「あれ。リソース変換したいのに、変換元のリソースが残ってない?!」「仕事を終えているのに、いつのまにか、砂時計が行って戻ってきていて、ワーカーを取り出せない」「3分時計のエリアでワーカーが複数ロックされてて、ワーカーがいない」などと大混乱が発生し始めます。

 なお、各プレイヤーには、手札が渡されていて、このカードを使うことで、ワーカーを増やしたり、砂時計の置いてあるマスからワーカーを問答無用で引き抜いたりできます。が、使ったカードを再使用するには、青のリソースが必要で、このリソースは、3分時計が支配するエリアに行かないと大量入手が出来ません。

 そうだというのに、3分時計が3回ひっくり返ったら、ラウンド終了の合図で、2分/45秒時計は、それ以上、動かすことが出来なくなります。ラウンド開始に3分時計も1回ひっくり返されているので、実質、1ラウンドは3分時計が2回ひっくり返るだけの6分+αの時間しかありません。


 理想的には、ラウンドの最初の1回のひっくり返しを無視すると、2分時計は3回、45秒時計は8回、1ラウンドの間にひっくり返される訳ですが。「砂時計が空っぽになっても、ひっくり返す義務はない」というルールが、話を面白くします。空になった砂時計を、放っておいてもいいのです。

 先ほど言ったようにワーカーをマスに置くには、砂時計がいないことが条件ですが、誰もワーカーを予約に使っていない時に、砂時計をひっくり返しても、誰も仕事ができないので、誰も嬉しくありません。

 逆にいうと、(砂時計の砂が落ち切った)と見たら、素早くワーカーを動かして仕事を予約して、他の人がワーカーを動かす前に砂時計をひっくり返し、「おやおや、今回仕事が出来るの私だけですか。ダメですよ、ちゃんと事前に予約してないと」とか言っていれば、大きなアドバンテージになる訳です。更に手札カードの「砂時計があるマスからワーカーを動かせる」までセットで使えば、3分時計の長い長い予約期間+長い長いロック期間を、十秒程度でクリアしてしまえるので、時短の大チャンスです。


 難易度的に、初プレイだと「誰もノルマを達成できない」ということが起こりえるゲームですが、その場合でも勝ち負けを定めるルールはあります。逆にゲームに慣れて、「みんながノルマを大幅過達してしまった」時の勝敗決定ルールもあります。
 また、上級ルールには、各プレイヤーが担当するキャラクターの得意・不得意を大きく強めるルールもありますので、リプレイ性は高いと考えます。

 非リアルタイムモードのルールや、オートマによるソロプレイルールもありますが、やはり人間相手にリアルタイムに悲鳴を上げながら、あたふたしつつプレイするのが本道のゲームかな、と感じます。