無題

島本和彦著「ワンダービット」2巻より引用。*1

おれも若いころは くだらねえ本を たくさん読んだものよ……
ハッハッハッハ!! まったく くだらねえ本だったぜ!!
だがな……
おれが生き方を学んだのはそんな本からじゃねえ!
くだらねえ本など足もとにも及ばねえ―――
 
おやじの強烈な生きざまと
何があってもおれを信じてくれた
おふくろのあったけえ愛だった……
 
病気の子供の患部を
とりのぞくことばかりやっきになっても―――
肝心の体が栄養のいきわたった健康体でなきゃあ水のアワだろうが!!
 
ようするにだ……
おれたちが感動したマンガを買ってやりゃあいいのよ!! フッ!
 
子供の前におれたちが本を置く……その本は、
おれたち親が感動しやめられなくなりやみつきになったものだ……
○○○○だけが売り物のハンパなマンガとは感動の「格」が違うだろうおっ!!
 
それでもまだあんたたちの気にいらねえ「悪書」といわれるマンガを選ぶようなら……
そっからはそこまで育てた親の責任だ 違うのかい?
 
はたして子供が感動し、やみつきになる本を選ぶことができるか、
子供がなけなしのこづかいをはたいて、まず買うのはどっちの本か?
 
言ってみりゃあ、こいつあ親と子の感動バトルよ!!
いやな本をとりのぞくより、ケチケチしねえで、おもしれえ本をバンバン買ってやるのよ!
これが人としての常識正道ってやつじゃねえのかい!?

 
以上、踏まえて。
善悪の区別は、道徳で学べ、として。
 
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1冊目と2冊目は、生物・化学・物理が学べます。
化学に関しては、有機化学全般を扱ってます。物理は工作物が多いです。
 
ただ、方針が
 
化学 「ご家庭で、ドラッグや催涙弾や爆薬を作ってみましょう。これやると捕まります。これは、調合レシピが分かっただけで、基本も知らずに精製始めると、涙を垂れ流しながら苦しんで死にますので、レシピの読み方・実験のやり方を説明しましょう」
生物 「生物毒の凶悪さは、化学毒の比ではありません。では、スズメバチの養殖をやってみましょう。数匹、ケースから逃がすと、バイオハザードで死ねます」
物理 「レールガンを作ってみましょう。電源となるコンデンサには、人が数回死ねるぐらい……熱いと思う間もなく感電アフロ死する電圧が溜まってるので、冗談でスタンガンとか遊んでるとアフロ死の量産です」
 
……と、実験に失敗はつきもの、失敗したら命の保障はないのも常識、という観点で書かれてます。
一応、基本から書かれているのですが、実験の準備には遺書も含まれるかもしれません。
 
要するに「バカヨケがない」実験です。実験の意図を理解していない、頭が寝たまま、無計画に……実験すると死ぬよ、という実験集です。
理科の実験中に、ふざけて薬品で遊んだり、実験器具を雑に扱ったりするようなガキにやらせると、そりゃあ死人でるよ、という内容ですな。
 
でも、これは楽しい。
生物・化学は、題材は無駄に不穏当な内容だけど、実験技術を身につけるには最適な流れになっている。
物理は、どちにらかと言えば工学なんだけど、破壊兵器の基本原理から学んで、実際に手を動かしてやってみよう、というのは、かなりの経験になります。
  
三冊目は、ジェットエンジン作ってみよう、とか、ライターで火炎放射器作ってみよう、とか、本格的な工作物です。
この辺は、「そんなもの作ってどうするのか」というより、「こんな材料で、こんなのが作れるのか!」「こんな家庭用品に、こんな部品が詰め込まれてるのか」と感心できます。
新刊なので、見かけたら、手にとって見てみるといいでしょう。
 
最後に、新刊の三冊目の後表紙から引用

本書には過激な大出力、不謹慎な火力、
意味不明な威力、無目的な工作がふんだんに含まれています。
分別のないお子さまの手の届くところには置かないでください。

*1:あ、絶版してた。新装版が、「熱血SF短編集」と名前を変えて、エンターブレインから出てます