ロリコンが病気なら必要なのは規制ではなく治療

MIAUニコニコ動画で、生放送をやっていた。

MIAU Presents ​ネットの羅針盤『大激論! 都条例改正案に賛成? 反対?』ニコニコ動画

3月27日(土)19時00分より、
メディアジャーナリスト/MIAU代表理事津田大介氏が司会進行を務め、現在、ネットを始め各所で反響を呼んでいる『都条例改正案』をテーマとした討論番組の生放送を行います。
非実在青少年』と言われる、アニメや漫画などに登場する18歳未満のキャラクターによる性表現も規制対象となるなど、青少年の保護と表現の自由の狭間で、様々な議論を呼んでいます。
番組では、津田大介氏の進行のもと、東浩紀氏、藤本由香里氏、白田秀彰氏、おがわさとし氏、田中秀臣氏らが集結し、『都条例改正案』をテーマに熱い議論を交わし合います!

私はタイムシフト視聴で後から見たんだけど……これ、一回見たら、見返せないのな。
誰か、早く、ニコ動の方にUPしてくれ。
 
で。
内容は、例の、「非実在青少年」規制問題について。
大激論、ということで、賛成派の人にも参加してもらおうとオファーしたら、50人ほどの都議員他の人全員から「日程の都合が合わない」と断られたそうな。
 
もう、賛成派にロジックがないのは明白なのよ、これだけで。
 
それで、激論しようにも、相手がいないので、最初からナァナァな話になってるけど。
相変わらず、白田先生の発言が素晴らしかった。
 
要約すると、

  • ロリコンが病気なら必要なのは規制ではなく治療。規制すれば「らい病問題」と同じ話になる。
  • ロリコンが生まれ持ったものならば、それは肌が黒いのと一緒。それを規制するのはレイシスト以外、何者でも無い
  • 各種団体は「ロリコンはなぜ発生するのか」を分析し「ロリコンをどう正常化(?)させるか」を道徳的・宗教的に導くべきで、立法で規制するのは筋違いを通り越して、あってはならない。
  • 海外での規制の話がよく出てくるが、米国の法律では違法の基準が明確に定められていて、「商用で」「公開されていて」「未成年で」「強制で」なければ、犯罪にはならない。もちろん、実態の伴わない二次元が規制されるなんて、ありえない。

 
……とか何とか。(ごめん、うろおぼえ)
てことで、反対派のロジックはしっかりしてるんだけど。
賛成派がいないので、話が広がらない。
 
まぁ、最大の問題は、「石原都知事が悪い」「自民・公明が悪い」って話では、全くないってこと。
都の議論と、法制化の道筋に、どう考えてもシャンプアップがあって、誰かが思想統制をしたいから、都議なんざ無視して立法しようとしてる、ってこと。
 
……で、思い出したのが、これ。青少年ネット規制法。
去年の4/1から施行されてるんだが。
なんか、同じような匂いを感じられるけど、今回は、なんだかんだで、継続審議になってしまった。
継続審議ってのは、下記にも書かれているけど、
 
非実在青少年条例改正の継続審議 今後の動向についてmixiから転載松浦晋也のL/D)

●6月可決はほぼ不可避

となった訳です。
生放送の中にもあった通り、言い出したのは自民・公明なんだけど、民主だって廃案に追い込むどころか、継続審議を認めちまった。全会一致とはそういう意味。
ただ、これには、長々と審議いているうちに、途中で議員が交代してて「去年まではこういう話をしてました」と言われて「そういうものか」と思わされちゃったところもある。あまにも、事務局の権力・誘導が強すぎるのよね。
「都議なんざ」無視して、ってのは、その辺もあるのよ。
 
「じゃあ、どうすんのさ」と言うと、先のBlogにもある通り、

そこで、とにかく今は、
『お礼状』
を送って欲しい、とのことです。
手紙はもちろん、メールでも「名前」「住所」がしっかり書かれていて、かつ「自分の言葉」で綴られていれば、問題ないそうですよ。
というのも、今回。議員側が驚いたのは、その「名前」「住所」「自分の言葉」がメールに書かれてある、という点だったようで。
これまでは、メールを「どうせ匿名だから言いたい放題できるんだろう」という感じに軽視していたらしいです。
けれども今回、大勢の人たちがちゃんと、実名で自分の思いを書いたことで、
「メールも馬鹿にできないな」
と、重く受け止めざるを得なくなったらしくて。

……今回、「朝日新聞」が大々的に、この改正案を取り上げてくれました。
なので朝日新聞にお礼状を送り、続けて六月までこの問題に目を光らせてもらう、のがいいようです。
他にも、「東京新聞」もでしょうか。こちら、関西に住んでいる身では詳しくなくてすみません。とにかく声を上げてくれたマスコミには、お礼を言うのがいいそうですよ。

とのことです。
 
「……え? 朝日新聞に応援メール?」と思われるかもしれませんが、ちゃんとしてりゃ批判しませんよ、私は。
意味不明なことやってたら、産経にだってツッコんでますよ。めんどーなので、メールだけしといて、Blogに書きませんが(笑)。
 
で、話は変わるけど、生放送中も、ネットの規制ってのは問題になってた。
リアルな話、たとえば秋葉原なんかは、「いーかげん自重しろ」という白田先生の言葉じゃないけど、自主規制の名のもとに、ちょっと頭を冷やそうか、ってことは出来ると思う。
しかし、ネットは難しい。
 
この辺、先日書いた、ネットリテラシーにも関わると思うんだよね。
もう、子供の方にガードかけるしかないと。
ネットには、心が歪むものがあるんで、見たとしても「それが真実」なんて思い込むなと、最初に説明しとく、と。
 
こういう話をBlogに書こうか、と思ってたら、また話を思い出した。
小説の一節なんだが。
 
小説「火龍面舞」(朱鷺田祐介/ファンタジーの森文庫−絶版)

しばらくの間、少年はじっとしていた。
「私がいいと言うまで、書庫の中の本を勝手に読んではいけない。本とは読むべき時があるのだ」
と、師匠ののブレストに釘をさされていたからである。
「ある事柄を理解するためには、前提となる知識が必要だ。たとえば……」
と、ぼろぼろに破壊された茶色い小冊子を取り上げる。
「学院では《サードナの黄金》と呼ばれる伝承の研究書だ。プリアなるものが隠された黄金について語った本だ」
「黄金!」
「何も知らぬ者は、この本を読んでも、隠された黄金を探しに行くことしか考えない。だが、我ら魔道師はこの本が語る黄金を探しに向かったりはしない。なぜならば、我らは、ブリアが、《不和の公爵サードナ》と呼ばれる魔族に仕える異端教団の使徒であることを知っているからだ」
(中略)
「わしの話を聞いた後ではこの本の印象が全く異なって見えただろう? それが情報というものの恐ろしさなのだ」
「読むときに持っている知識により、得られる真実が異なるのですね」
「そうだ、レディアス。いいかい、情報をねじ曲げる者がいることを忘れてはいけない。奴らは別の意図を持って、言葉を歪める。正しい論理の展開を失わせて、誘導するのだ。選択を与えたような振りをして、袋小路に追い込んでいくのだ。いいか、知識がないということは無防備だと言うことだ。忘れるな、それは破滅に通じるのだ」
(中略)
「ジャビル」と、レディアスは嘲笑の笑みを浮かべながら、ゆっくりと言った。「真理の探索者では、本の読み方を教えないらしいな」
「以前もあなたはそう言ったよね」とたんに、ジャビルの声が険しさを増す。「だが、僕は《龍王経典》を読んでこの姿を得た。本の読み方を知らないのはあなただ。レディアス、あなたこそ魔道書を恐れるばかりで、真実を見ようともしない」
「本の内容を理解することと、無分別に受け入れることは、全く別だ。お前は手に入れた刃物の危険さもわからずにもてあそんでいる子供に過ぎない」

……と。
 
うーん。
この引用をする為に、この小説を本棚から引っ張り出してきたんだが、改めて読み返してみると、私自身、なにかと無分別に受け入れてるとこがあるのに気づいた。
少し自重することにして、このエントリーは終りにしてしまおう。