愛媛大学ミュージアム訪問記 続き

愛媛大学ミュージアム愛媛大学)の続き。
常設展示を終えて、ようやく期間限定の企画展示について。
 
まずアロサウルスの標本がどーん。

東京・上野の国立科学博物館の所蔵物です。四国では初展示だそうで。
発掘したらバラバラになってる頭部こそレプリカですが、それ以外は発掘された化石標本そのものです。
 
パネル展示等は一部屋。

恐竜から、哺乳類まで。
 
哺乳類たくさん。

なんで恐竜の展示で、哺乳類がこんなに、と私も疑問を感じてたんだけど。
恐竜が滅んでから、哺乳類が発達したみたいなイメージは間違いで、恐竜と哺乳類は同時代に存在した、恐竜が巨大化・多様化を始めると共に、哺乳類も様々な発達をしていた、っていう最新の学説に基づく展示だった訳です。
あとの講演で、「こんな展示の仕方は日本のどこ探してもない」と先生が賞賛してました。
 
また、今年の2月の発表で恐竜絶滅の理由として、堂々とメインストリームを闊歩し始めた「隕石衝突説」についても展示されてます。

あいたー。写真、パネルしか撮ってないや。隕石起因と思われるイリジウムの地層を示した展示もあったんだけどー。
 
さて、国立科学博物館真鍋真教授の講演「最新恐竜学」について。

おや。結構、人が入ってる(100人越えの聴講者がいたそうです)
学生や子供達だけじゃなくて、おじさん・おばさんのような一般客も多いね。
 
っていうより、ただの体育館だった建物が、こんなに綺麗な講演会場に仕立て直されてるのに、一番驚いた……あぁ、本筋じゃないや(笑)。
 
内容ですが。

恐竜から鳥類の進化に関する話が主題だったかな。
 
恐竜と爬虫類の差について。

足の付根の部分の骨盤に穴があるか、ないかがキーだそうな。
恐竜は、骨盤に穴が開いたことで、ガニマタで腹を擦り付けるような歩き方から、足を伸ばして立ち上がる姿勢に進化した、って話。
 
アロサウルスの標本研究の進歩について。

尻尾を引きずらず、頭のバランサーとして足を支点に持ち上げることで、高速機動が可能であった、という研究を紹介していた。
巨体をのそのそと動かしていた、あるいは、無理やり尻尾を引きずって走り回っていた恐竜の姿は、過去のものとなっています。
 
また、肋骨が背骨から伸びているだけじゃなくて、腹側にもある。
これ、鳥類への進化を語る際に忘れちゃならない特徴だそうな。
 
今年に入っての研究となると、さっきも言った隕石衝突説の物証がはっきりしてきた、ってのもあるんだけど、

恐竜の体の色が分かり始めてきた。
これまで、化石になると周囲の土の影響で、白い骨や牙ですら茶色や黒に染まってしまう化石ばかりで、ましてや、皮膚の色なんて化石から分かるはずがなかった。
ところが、化石をよく調べてみると、皮膚のメラニン色素の形状が確認出来た。とはいえ、どのメラニン色素がどんな発色してるなんて分かるわけがない……と考えてたら、色素の形状でどんな色をしていたか傾向があることが分かった。
 
結果、写真のように、白・黒・赤という体表をしていたんだろうなぁ、ってのが推測されてきた。
で、重要なのは、恐竜の体表がカラフル、ってことは、爬虫類のように嗅覚や聴覚だけじゃなくて、鳥類のように視覚を重要視するようになってきた……という、これまた、恐竜から鳥類へと進化する過程を示す証拠にもなる訳。
 
まだ、メラニン色素の研究は数例しかないけど、これから多くの化石を見直して行くことで、更に多くの恐竜の色が浮かび上がってくるみたい。
 
色々内容があったけど、重要なことは、「恐竜考古学は、未だ、やり残してることがたくさんある」ってことらしく。
「何十年も研究されている恐竜の分野なんて、もう僕が研究者を目指してもネタなんか残ってないんじゃない」と不安に思うことはないから、是非、研究者を目指してくれ、って話でした。
 
質疑応答でも「恐竜を研究するには、どこの大学に行けばいいか」という質問がありました。
これに対し、「愛媛大学には3人も恐竜考古学の先生がいる。リップサービスではなく、今、恐竜を研究したいのであれば、まず愛媛大学をお薦めする」とコメントされていました。まぁ、6年先は分からんので、中一の質問者に対しては「高一になったら、もう一度聞きに来い」と言ってたけど(笑)。
 
さて、講演会の後で。

ミュージアムの片隅、ミューズカフェへ。
 
小腹がすいてたので、410円でチーズカレーを食べる。

まぁ、それなりに。
 
今度来るときは、ガイドを頼もう。土日だと、1人でも案内してくれるらしい。
1人で見てると、どうしても、仁和寺のある法師になっちゃうからなぁ。