やがて迫ってくるかもしれない脅威

MiAU著作権関係について、続き。
ぷりん氏がコメントくれたことについて、返答書いてたら長くなったので、エントリにする。
 
大半は昨日のコメントに書いたのだけど、更にちょっと詳しく書きたいことが。

そうなれば、迷惑メールの中に小説の一節があっただけで、それを受信した時点で犯罪になります。ネット検索も携帯メールもできなくなります

 
私は昨日のエントリにあるように、ダウンロード違法化自体は、容認してもいいんじゃないかと考えてます。
ただ、ぷりん氏が指摘してるような状態にしない為にも、下記の各項目で懸念が必要と考えます。
 
◎テキスト/写真に関するダウンロード違法化の拡大
ここの抵抗は難しい
 
◎引用の再定義
メールの内容が「引用」であれば違法ではないが、恐らく、「引用」範囲外のメール内容を想定してますねぇ。
 
◎「情によって」の明確化、推定無罪の確認
違法と承知の上でダウンロードしたことの証明責任は原告側ということ。
証拠不十分なら無罪、は民主裁判の大原則。逆転裁判の世界じゃないんだから。
 
ただ、違法と承知してるけど「相手が送りつけてきただけ」と言い張れるメーリングサービスが登場したとき、対抗できるのか?
この辺が狙い撃ち法案にしたときの弱点なのよね。
 
あと、「使用」の明確化。
ハイパーリンクを辿って、自動的に表示されるコンテンツは故意ではない」と言い張るのはなかなか難しい。それだと、何でもOKになるから。
で、調べてて、こんなん見つけた。
Q:無断でリンクを張ることは著作権侵害となるでしょうか。著作権情報センター

リンクを張ることは、単に別のホームページに行けること、そしてそのホームページの中にある情報にたどり着けることを指示するに止まり、その情報をみずから複製したり送信したりするわけではないので、著作権侵害とはならないというべきでしょう
(中略)
クリックすることにより、他人のホームページ上の情報が自分のホームページのフレームの中に取り込まれるという形式のものであれば、話は別です。このような場合、自分のホームページの中に他人の情報を複製することになるので、複製権の処理が必要になってくるように思われますし、また取り込む情報が一部分であるならば不要な部分をカットしたということで同一性保持権も働く可能性があるからです。

……検索サイトって、キャッシュどころか、その存在自体がグレーゾーンなんじゃ?
 
ただ、ややこしいんだけど。昨日紹介した、JASRAC的ダウンロード/ストリーミングの定義(この解釈が法案に入るかもグレーだけど)と一緒で。
閲覧は問題ない。どこにも複製が残らず、キャッシュがあっても、ブラウザを閉じると利用できなくなるのなら(これはこれで凄く異論はあるんだけど)。だから、ダウンロード違法化が現実のものになっても、違法サイト閲覧だけなら問題ない。
でも、保存は複製に当たるからNGだ。だからメールは対象に入るし、閲覧してるものを印刷しちゃうとNGになる……むーずかしーぃ。
 
著作権 非親告罪
これは絶対阻止。
著作権者が評判低下のリスクを背負って訴えてきたのならともかく、全くの他人がノーリスクで訴えて、警察が動き出す状況は本当にヤバい。
 
結論として、ぷりん氏のコメントは、不安を煽る危険な内容には思うけど、全くの的外れではなく、「すぐそこに迫る危機」ではないにしても、「やがて迫ってくるかもしれない脅威」とは言えると思います。
 
この辺、各自でパブコメ出す時の材料にしてくださいな。
 
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意見・情報受付開始日 2007年10月16日
意見・情報受付締切日 2007年11月15日