サイバーパンク資料

TRPGや小説には「サイバーパンク」というジャンルがあります。
30年前に夢見た30年後の世界って感じで、企業の発展と世界支配、貧富の格差拡大、退廃的で暴力的な治安情勢、義肢の発達とサイボーグ化技術の確立、コンピュータネットワークの発達とコンピュータと脳の直接接続によるログイン……
と、ここまで説明して、サイバースペースって、物の考え方が古臭いですな。なんでジャックインする必要があるのか。所詮、人間の処理能力は限られるので、補助電脳のサポートが必要……それならデュアルディスプレイにウィンドウを開いてくれるランチャーとか、検索エンジンを整備した方が、脳を焼かれたりしなくて済むので安全のような……触感とか、嗅覚を体験できるってのが利点かなぁ?
ついでに言うと、古典的なサイバーパンクは、PCと脳の接続は有線でした。最近のTRPGは、慌てて無線LANに更新されてます……30年前に予測した姿とは、全く別の未来に現在は来てしまったようで。
 
で、本題。
その退廃社会の資料になりそうなネタが転がってたので、紹介しておきます。
 
憂鬱なる北京五輪後の中国 (産経新聞

≪タブー破りに監視の目≫
中国で暮らしていると、巧妙に監視された巨大な空間に身を置いているような感覚に襲われるときがある。
自由主義国と変わらない大量の書籍、豊富なテレビ番組、さらにインターネット。一見すると、受け手側はあたかも自らが好きな情報を選べるように思えるが、実際には当局が「タブー」とする情報はフィルターにかけられている。
中国における「タブー」とは何か。当局の圧力を受けた知識人らの弁を借りれば、▽要人の動静、私生活、批判▽一定レベル以上の高官の汚職、スキャンダル▽軍関連情報▽民主化の言論とその動向の取材▽地下教会や非合法組織、法輪功の動向と当局の具体的対応▽党の正当性にからむ歴史…。そして今は、「北京五輪批判」である。
「外国人記者も、当然監視の対象になっている」と、中国政府筋から言われたことがある。その筋は「程度の問題もあるが」としてこう話した。
「党中央指導者(引退者含む)に対する個人批判と動静の暴露、内部文書に基づく高度な軍事情報の暴露、台湾独立の宣伝、身分を偽った取材はやめた方がいい」
まだそうした決定的な「タブー」に私は触れていないようなので、北京にとどまっている。それでも、当局には何度か「公式」に呼びつけられた。「非公式」だと、もっとある。
公式のひとつは、江沢民国家主席にからむ1面記事が理由だったようだ。当局者は「あなたの記事には笑いました。ハハッ」と皮肉った後、「御社が(98年に)総局を北京に開設(実際には67年に常駐記者が国外退去を命じられて以来の再開)してから、仲良くしてきた。これからも仲良くしていきたい」などと話した。
 
≪被取材者も締め付け≫
最近では、温家宝首相の引退の可能性を報じた日本メディアが呼ばれたと耳にした。
来年の北京五輪に向け、気持ちが沈むことが多い。
民主活動家や、地方幹部の腐敗などを訴えて北京にやって来る「直訴者」たち、彼らと連携する弁護士らへの締め付けが日に日に強化されていることを確認する度にだ。「地下キリスト教」信者の拘束も含め、例を挙げるときりがない。
これらへの取材過程で見えてきた当局のやり方は、まず対象者の拘束や監視、自宅などでの軟禁、そして対象者の弱点である家族への圧力強化である。
五輪に合わせ、当局は今年1月から外国人記者の取材規制を一部緩和したため、威嚇による妨害は(少なくとも私には)なくなった。しかし、ソフトなやり方での取材妨害や一時的な軟禁なら何度も経験した。それに、土地・家屋の強制収用現場での撮影、北朝鮮国境や民族問題をかかえる新疆ウイグルチベット自治区での取材となると厳しい規制がある。
一方で、私の取材を受けた者が脅迫されたり、拘束されたりするケースも増え始めた。ある人は行方不明だ。連絡を取り合っていた「直訴者」は最近、いわゆる「労働改造教育所」送りになった。
北京の中国外国人記者クラブのアンケートでは、記者だけでなく、被取材者への脅迫、拘束、暴行など157件が報告された。
友人に胡佳(こけい)という名の男性がいる。環境汚染や人権問題などに取り組んでおり、断続的に軟禁されてきたが、現在も140日間を超え軟禁生活を強いられている。北京五輪まで続くことだろう。当局は彼の自宅周辺に計15人前後と車両数台を配置して24時間監視。出産間近の妻の外出も数台の車で追尾している。北京で最も厳重な監視対象のひとりだろう。公安当局者は私が訪問する度に記者証やパスポートをチェックする。
 
≪気になる揺り戻し≫
人権派弁護士だった高智晟(こうちせい)氏は、指導部批判をしたとされ、「国家政権転覆扇動罪」で執行猶予付きの判決を受けたが、家族の安全を“人質”にとられ、取材を受けないことを強いられている。政府批判文の発表も、救済活動もできない。
盲目の人権弁護士として知られる陳光誠(ちんこうせい)氏=服役中=の妻は8月下旬、夫の代理として「アジアのノーベル賞」といわれるマグサイサイ賞の授賞式に出席するため出国しようとし北京空港で拘束された。その直前、彼女は私にこう話した。「五輪に向け、政権が最も重視するのが『安定』。それに向けた方法は(異論者への)抑圧だ。何のために開催するのか。五輪の影の部分も伝えてほしい」
外国人記者の取材緩和規定は、五輪後の08年10月まで。その後の揺り戻しを思うと、ひどく憂鬱(ゆううつ)になる。
(野口東秀 のぐち とうしゅう=中国総局)

 
弁護士ら相次ぎ不明…中国、党大会控え締め付け強化 (産経新聞

10月8日22時38分配信

中国共産党大会の開幕を15日に控え、公安当局が人権派弁護士や民主活動家への締め付けを強化している。暴行を受け、行方不明になる事案が相次いでおり、北京五輪に反対する著名な市民も拘束されたとみられている。党大会をにらみ「社会の安定」を重視する当局が、異論者の封じ込めに出ている格好だ。

■「北京から出ろ」
著名な人権派弁護士の李和平氏によると、9月29日午後5時半、李氏は北京市の事務所近くの駐車場で、複数の男に布袋をかぶされ拉致された。ナンバープレートのない車で郊外の地下室に連れ込まれ、スタンガンなどによる暴行を約6時間にわたって受けた。男らは李氏に「家も車も売って北京から出ていけ」「出ていかないなら余計なことに構うな」と警告したという。李氏は官僚の腐敗による被害者救済などで知られる。公安当局者4人が24時間、自宅を監視している。
同じく人権派弁護士の高智晟氏も9月22日から行方不明だ。高氏は、妻子の安全と引き換えに、外国人記者の取材を受けないことなどを約束させられたという。関係者は、党大会を前に当局が別の場所に軟禁したとみている。妻子は自宅にいるが、監視下に置かれている。
当局が締め付けを強化しているのは、党大会に合わせ民主化活動家や弁護士、反体制派らが、腐敗などを訴えるために地方から上京した陳情者らと連携し行動をとる事態を、阻止する狙いがある。消息筋は「生活に不満をもつ主要な退役軍人の監視も強化している」と指摘している。

■五輪反対者拘束
北京五輪のあおりで住宅立ち退きに反対し投獄中の葉国柱さん。その息子の葉明君さんも、9月30日から北京の留置場に拘束されているという。
関係者によると、容疑は「国家転覆扇動罪」。葉国柱さんの弟、葉国強さんも同月29日から同様の容疑で拘束されている。同氏は、五輪開発による立ち退きに抗議し「自殺の意思を示すため」に、天安門前の堀に飛び降り、公共秩序を乱したとの罪で約2年間服役したことがある。現在も「五輪は中国に大きな災難をもたらした。腐敗を増長し人民の権利、財産を侵害した」と、五輪反対の文章などを発表していた。葉明君さんが拘束されたのは、葉国強さんのパソコンの手伝いをしたためだという。

■郊外に行ってほしい
北京市内に住む複数の他の人権活動家や作家も、拘束されたり連絡が不通になっている。
1989年の天安門事件民主化運動にかかわった活動家、劉風鋼氏は「9月27日から自由に外出できなくなった」と話す。劉氏はキリスト教徒として活動をしていたが、国外への違法な情報提供の罪で3年間、服役したことがある。天安門事件で軍に銃撃され左足を失った活動家、斉志勇氏に対する監視も始まった。女性弁護士の倪玉蘭氏は、公安当局者から「(党大会期間中)郊外などに行ってほしい」との通知を受けた。近く軟禁される見込みだ。倪氏は2002年4月、五輪に伴う再開発の強制立ち退きを告発するため、現場などを撮影し「派出所で8人の男性警官から10数時間にわたり暴行を受けた」。今も歩くことができない。(北京 野口東秀)

どうみても、30年前に作り上げたサイバーパンク世界です。
本当にありがとうございます。