最終防衛ラインは地方の窓口しかない

子ども手当て、つまり、これの続き。
 
子ども手当:韓国人男性が554人分申請 孤児と養子縁組(鈴木直/毎日新聞

兵庫県尼崎市に住む50歳代とみられる韓国人男性が、養子縁組したという554人分の子ども手当約8600万円(年間)の申請をするため、同市の窓口を訪れていたことが分かった。市から照会を受けた厚生労働省は「支給対象にならない」と判断し、市は受け付けなかった。インターネット上では大量の子ども手当を申請した例が書き込まれているが、いずれも架空とみられ同省が数百人単位の一斉申請を確認したのは初めて。【鈴木直】
尼崎市こども家庭支援課の担当者によると、男性は22日昼前に窓口を訪れた。妻の母国・タイにある修道院と孤児院の子どもと養子縁組をしていると説明し、タイ政府が発行したという証明書を持参した。証明書は十数ページに及び、子どもの名前や出生地、生年月日などが1人につき1行ずつ書かれていた。担当者が「養子はどの子ですか」と聞くと「全員です」と答え、男女で計554人と説明したという。
男性には実子が1人いる。子ども手当は月額1人につき1万3000円(10年度)で、計555人分が認められれば、年間8658万円の手当が支給されるが、厚労省子ども手当管理室は「支給はあり得ない」と言う。
今回のようなケースについては、国会審議で野党から問題点として指摘されていた。手当の支給要件は(1)親など養育者が日本国内に居住している(2)子どもを保護・監督し、生活費などを賄っている−−の2点だけ。母国に子どもを残してきた外国人にも支給されるうえ、人数制限もなく、機械的な線引きが難しいためだ。こうした盲点を突かれ、ネット上では「100人を養子縁組しても手当はもらえる」といった書き込みや批判が絶えない。同省は今月6日、ホームページに「50人の孤児と養子縁組をした外国人には支給しない」と記したものの、根拠は「社会通念」とあいまいだ。何人以上なら不支給という明確な基準はなく、同様の申請が各地で続発しかねない状況となっている。
尼崎市の男性は、子どもへの送金証明や面会を裏付けるパスポートのコピーなど外国人に求められる書類をそろえており、事前に調べてきた様子がうかがえた。市の担当者は「可能ならもらおうという意欲を感じた」と話している。

厚労省子ども手当管理室は「支給はあり得ない」と言う。
なぜか。
支給要件があるからだ。
 
平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律厚生労働省

(支給要件)
第四条 子ども手当は、次の各号のいずれかに該当する者が日本国内に住所を有するときに支給する。
一 子どもを監護し、かつ、これと生計を同じくするその父又は母
二 父母に監護されず又はこれと生計を同じくしない子どもを監護し、かつ、その生計を維持する者
三 子どもを監護し、かつ、これと生計を同じくするその父又は母であって、父母に監護されず又はこれと生計を同じくしない子どもを監護し、かつ、その生計を維持するもの

一号は分かりやすいよな。普通の父母な。
二号は父母と分かれて暮らしている子供の面倒を見てる人な。
三号は複合要件で、意味なし。
 
で。
厚生労働省は「子ども手当について 一問一答」ってのを作ってる。
 
子ども手当について 一問一答厚生労働省

Q:母国で50人の孤児と養子縁組を行った外国人にも子ども手当は支給されますか。

A:母国で50人の孤児と養子縁組を行った外国人については、支給要件を満たしませんので、子ども手当は支給されません。

子ども手当については、児童手当の場合と同様に、父又は母が子どもを監護し、かつ生計を同じくすること等が支給要件となっており、支給要件に該当することについて個別に市町村の認定を受ける必要があります。
「監護」とは、養育者が子どもの生活について通常必要とされる監督や保護を行っていると、社会通念上考えられる主観的意思と客観的事実が認められることとなっており、養育者と子どもの間で定期的に面接、連絡が行われている必要があります。
また、「生計を同じくする」とは、子どもと親の間に生活の一体性があるということです。基本的には子どもと親が同居していることで認められます。しかしながら、勤務、修学等の事情により子どもと親が別居する場合には、従前は同居しているという事案が確認できるとともに、生活費等の送金が継続的に行われ、別居の事由が消滅したときは再び同居すると認められる必要があります。
子ども手当の実施に当たっては、このような支給要件について確認を厳格化するなど、運用面の強化を図ることとしました。上記の支給要件に照らせば、ご指摘のような事案については、支給要件を満たしません。

「社会通念上」。
この言葉が法律として正しくない、とは言わない。
法律ってものは、がんじがらめに、矛盾なく・抜け道なく、用意されてるものではないからだ。
文脈の齟齬は、運用で切り抜けるのが普通。
 
とりあえず、尼崎市はブロックした。
まずは、お疲れ様と言いたい。
 
が。
予想通り、悪用する馬鹿が出てきた、って話。
 
自分の市町村は大丈夫だろうか、と不安になった人は、やはり市町村の窓口にメールしておくべきだと思う。
ちなみに、私は市にメールしたら、こんなのが帰ってきた。

子ども手当ての「外国人」に関しての対応ですが、ご指摘の養子縁組のケースにつきましては、国からの通知で、支給要件を満たさないケースであると示されておりますので、支給いたしません。また、子ども手当てを受給するためだけに入国するケースや養子縁組するケースなど、支給することが不適当であると判断されるケースにつきましては、当然、認定されません。
このように、本市といたしましても、事実関係の確認等を厳格化するなど、適正な運用に努めてまいりたいと考えておりますので、今後とも、ご理解・ご協力をお願いいたします。

お役所仕事、という言葉があるけど、法律の穴は運用で塞ぎつつ施行されていくもの。
お役所の人だって、決して、ルールに縛られて、杓子定規な仕事をしてる訳じゃないのだ。
 
人間、監視がない、と感じたら、どんどん手抜きを始めるものだし、市民から不安を伝えておくことは悪くないことだと思うんだけど、どうでしょ。