モノトーン・ミュージアムについて

明日からWiiにかじりつく予定なので、今のうちに説明しとこう。
時々やってくる「TRPGに興味ない人はおいてきぼり」なエントリです。
 
てことで、アイロニックメルヘンTRPG「モノトーン・ミュージアム」について。
アイロニック(Ironic:嘲笑的な、皮肉的な、反語的な)と言うように、端的に言うと、おとぎ話のようなメルヘン世界で、ダークヒーローものをプレイするというものです。
 
特徴は3つ。
舞台、御標、伽藍と異形です。

舞台

まず、おとぎ話のような中世ヨーロッパ風の世界を舞台にします。
これについては、PCで選択できる職業を説明すれば伝わるかと思います。
旅人、戦士、術者、賢者、僧侶、日陰者(シーフのような裏町の住人をこう呼びます。センスあると思います)のような、よく見る職業のほかに。

  • 其等(それら)。動物、植物、あるいは、無機物が立って歩いて言葉を話す。長靴を履いた猫とか出来ます。
  • 不死人。神に祝福されて、老化停止と無限に近い回復力で、永遠の命を授かった人。
  • 貴人。お姫様や王子様ですな。往々にして不死人だったりします。不死人になったから、貴族として奉られたというべきか。
  • からくり。永遠の寿命を持つロボットで、人間に仕えています。
  • 童子。子供です。時として、少年・少女は世界の真実を的確に見通します。

……要するに、メルヘン世界に出てくるような職業・種族は割と揃っています。

「御標」

2つ目の特徴は、世界を導くもの「御標」です。
これは、神から授かる天啓のようなものです。
 
たとえば、こんな感じ。
 
『桃太郎は鬼ヶ島に鬼退治に出かけて、見事、金銀財宝を持ち帰りました。めでたし、めでたし』
 
さて、この「御標」が下った場合、桃太郎の選択肢は2つ。
「実際に鬼退治に行く」か「御標に逆らって異形となるか」です。
 
この御標の場合、鬼退治に出かけると、金銀財宝を持ち帰ることが出来るっぽいです。
だからと言うわけではありませんが、桃太郎は、鬼退治に出かけることと、金銀財宝を持ち帰ることを努力しなければなりません。
ここで「御標」は人々を幸せに導く為の、努力目標に過ぎません。決して成功が保証されているる訳じゃありません。
でも、「こうすれば、こうなる」という希望が示されていることだけが救いです。
ただ、鬼退治に出かけて返り討ちに会う可能性は、なお残っているのは事実です。
 
なるほど、なるほど、そんなに不安定な努力目標だったら、別に無視してもいいんじゃないか、と思われるかもしれませんが、そうは行きません。
「御標」は世界の意思です。「御標」に従わなければ、それは世界からの逸脱を意味します。
「御標」を放棄すると、「異形化」という形で世界から裁かれます。
「異形化」とは、身も心も化物に堕ちるものと考えればいいでしょう。獣以下の化物として、人々を襲うのが「異形」です。
 
まとめると、モノトーン・ミュージアムの世界の人々は、幸福を求めるため、同時に「異形化」をさける為に「御標」に従って生きていく訳です。

「伽藍」

さて。3つ目の特徴が異形の一種である「伽藍」の存在。
世界から逸脱が進んだ「伽藍」は、自らの欲望のままに「御標」を書き換えることが可能になります。
たとえば、先の「御標」を下記のように書き換えます。
 
『桃太郎は鬼ヶ島に鬼退治に出かけて、鬼に殺されてしまいました。めでたし、めでたし』
 
さて、この「歪んだ御標」が下った場合、桃太郎の選択肢は2つ。
「実際に鬼退治に行って鬼に殺される」か、「御標に逆らって異形となるか」です。
どっちの選択肢も悲劇しか生みません。しかし、それでも、桃太郎はどちらかを選択するしかないのです。
 
その例外はPC達……「歪んだ御標」や「伽藍」の振りまく理不尽に対抗する為、世界から逸脱することを選択した人々……「紡ぎ手」です。
「紡ぎ手」は、自ら世界から逸脱することで、「御標」の影響から逃れ、逸脱能力と呼ばれる超常の技を行使します。
それゆえに、世界の人々から「紡ぎ手」は異形と同一視され、「伽藍」への対抗戦力として頼りにされつつも、いつか「伽藍」に転落する存在として忌み嫌われています。

まとめ

世界を"虚無"に引きずり落とそうと、世界から逸脱し、世界に「歪んだ御標」をばら撒く「伽藍」。
「伽藍」に対抗する為、世界から逸脱し、世界の歪みを癒していく「紡ぎ手」。
 
世界から否定されても、人々から否定されても、それでも理不尽に立ち向かう。
モノトーン・ミュージアムは、そんなPC達の物語です。

おまけ

今度、コンベンションでGMしようとしているシナリオは、下記のような感じ。
<今回予告>

あるところに 女の子がおりました 
女の子は助けた獣に連れられて 
お城に来て見たのですが そこは絵にもかけない美しさでした
 
お城の方々の御馳走に 毎夜のようにダンスパーティ
珍しいもの、おもしろいものに囲まれて
月日がたつのも夢のうち

遊びにあきることもなく いとまごいなど ありえなく
いつまでもいつまでも、おもてなしを楽しむのでした

めでたしめでたし

ハンドアウト

PC1/シナリオパートナー:エリーズ 感情:庇護
少女が失踪してから、既に1年近く。
「獣」に連れられて、という手がかりから、ようやく竜宮の国にいると突き止めた。

PC2/シナリオパートナー:ジュリエッタ 感情:不安
神に選ばれ"不死者"として、竜宮の国で女王となった娘。
どうにも我侭な人だったが、ちゃんと市政を務めているのだろうか?

PC3/シナリオパートナー:ウサギのレイバン 感情:旧友
其達(それら)の一員たる、兎の友人、確か、竜宮の国で暮らしているとは聞いているが。
今も自慢の足は健在だろうか。彼に加わって欲しい仕事があるのだが。

PC4/シナリオパートナー:ラティーシャ 感情:好意
ティーシャは、まだまだ未熟ながら、才能を感じさせられる踊り子にして歌い手だった。
相談したいことがあるのだが、今は竜宮の国にいると聞く。

PC5/シナリオパートナー:土産の"箱" 感情:好奇心
異形と化した知人が大事にしていた"箱"。
竜宮の国での土産物、とは言っていたが、この空っぽの箱に何が入っていたと言うのだろう?

 
 
さて。
ここまでの説明で「面白い話になりそう」って気配が出せてたら、上手くいってるのだけど、はてはて。