たった一兆円で軌道エレベーター

エレベーターで宇宙に行けるかも 東京で今秋国際会議asahi.com
 
うーん。これ書いた人、SFの流れを知らないんだろうな。

「上に参ります。次の階は宇宙でございます」――長さ約10万キロのケーブルをよじ登って、ロケットを使わず、そのまま宇宙へと飛び出す「宇宙エレベーター」の研究団体が日本で結成された。海外の研究者を招き、11月に第1回国際会議を東京で開催する。

宇宙エレベータというのは、初耳です……軌道エレベータのが主流の呼び方だよね。

宇宙エレベーターとは、赤道の上空、高度約3万6千キロに浮かぶ静止衛星から地上に向けてケーブルを垂らし、それをガイドとして利用して、宇宙との間を昇降するエレベーター型宇宙船のこと。

宇宙船という表現も初めて聞いた。
んー。まぁ、そうとも言うかなぁ。地上から塔を建てるんじゃなくて、静止軌道上のステーションから地上に糸を伸ばしたようなものだしなぁ。
 

実現は不可能に近いと考えられてきた。どんな素材でもその重さに耐えきれず、ケーブルが途中で切れてしまうからだ。計算上は、鋼鉄の約180倍もの強度が必要。だが、日本宇宙エレベーター協会会長で、IT会社社長の大野修一さん(40)によれば、軽くて強いカーボンナノチューブが開発され、必要強度の約4分の1の強さの繊維がすでに造られているという。

静止軌道上のステーションは、遠心力と重力をつりあってるので、地面には落ちてこないし、無限宇宙に吹っ飛んでいくこともない。
けど、地球側にちろっとロープを垂らすと、重力バランスが壊れて地面に落ちてくる。宇宙側にちろっとロープを垂らすと、遠心力が重力を振り切って、無限宇宙に吹っ飛んでいく。
それを防ぐために、ロープをバランスよく伸ばすんだけど。
 
水の入ったバケツを持って円形に振り回したらどうなるか?
そりゃ、腕が痛くなる……これが遠心力に耐える素材が必要な理由。
 
じゃ、水の入ったバケツを持ってずっと立ってたら?
やっぱり、腕が痛くなる……これが重力に耐える素材が必要な理由
 
軌道エレベータのメリットはやっぱりこれ。

細かく言うと、

  1. 費用削減
  2. 地球の重力を振り切る推進力の重量を、別の重量に使える
  3. スペースデブリの削減(エレベータに吸着ネットを貼って、むしろデブリ回収に使えるとしてるとするマンガもある
  4. 猛毒のロケット推進剤をばら撒かなくていい。
  5. オゾン層に穴あけないで済む

 
ガンダムOOとかだと、

  • 宇宙太陽発電のケーブルを通せる

ってのが大きいんだけど、それはリアルも同じだ。
 
月や他の惑星から希少金属拾ってくるには、マスドライバーという道もあるんでコメントしないけど、最初のマスドライバーを建築するのに軌道エレベータが大活躍するに違いない……というか、ロケットで何十往復もって、地球の水素と酸素をどんだけ宇宙に捨ててくるんだゴルァ、って話もある。
 
逆に、地球にあっちゃいけないもの、放射性廃棄物の太陽投棄なんかが現実的になる。
なにせ、太陽って奴は、安全対策も何もなしに核融合をやらかして放射線をばら撒く、原子力発電的には最っ低な存在なので、人類が核分裂如きで作った残骸なんぞ、蚊に刺されたほども感じないだろう。
 

総建設費は、約1兆円の予定。

やすっっっっ!
 
とはいえ、JAXAの流動資産の10倍とか……。
民主党、18兆円のバラマキ政策の中に、ついでに1兆円ほど予算とりませんか? どうせ、財源確保も出来ていない、言うだけの話なら、これぐらい吹いてくれないと、私は投票しないよ?
 
まぁ、実際に作るとしたら、最大の問題は、それを扱う人間なんだけどね。
テロ対策とか面倒そうだ。なにせ、地上のワイヤーが切れれば、そっから上はステーションもろとも、無限宇宙に吹っ飛ばされていく訳だから……昔から、赤道上のスリランカ辺りが建設予定地としてちょうどいいとされているけど、政情不安定なんだよねぇ。どうにかならんのかな。