今はこれが精一杯

リアルの目の前が大変なのに、精神的ストレスで押しつぶされそうなのに、そんなことに構っていられるか。
私でも、そう思っているのだから……興味ない人は、見過ごしているんだろうと思うけど。
 
GW前後の動きをまとめます。
「何の動き?」って……思想統制の話です。
えぇ、中国じゃなくて、日本の話ですとも。
エントリ的には、これこれこれの続き。
 
まず、4/29発行の「MIAUニューズレター Vol. 8」から転載。現時点、MIAUの公式に掲載されてないので。

◆1.総力特集!「青少年ネット規制法案」の衝撃 ◆
 
さて久しぶりのMIAU ニューズレターです。(というか、発行が随分滞ってしまい申し訳ありませんでしたm( __ __ )m )
 
今回のトップはやはり「青少年ネット規制法案」についてです。
すでに新聞各紙やTVニュース、Webサイト等で報じられているように、自民党民主党の各党から青少年に有害な内容のサイトの閲覧を、フィルタリングなどによって規制しようという内容の法案を検討しているとのニュースが今月初めに報じられました。
 
今回のMIAU ニューズレターでは、この問題にフォーカスして、いくつかの記事をご紹介したいと思います。
 
津田大介:「青少年ネット規制法」成立はほぼ確実 その背景と問題点 (1/3)- ITmedia News
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0804/09/news096.html
 
またすでにMIAU以外の多くの機関からも法案の問題点が指摘され、反対の表明がなされております。MIAUにおいても、先日、共同声明として反対の意志を表明するとともに、関係各所への働きかけを行っております。
 
DeNAやヤフーなど5社、青少年ネット規制法案に反対
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/39597.html
 
「青少年ネット規制法、断固反対」――古川享氏、中村伊知哉氏など共同声明 - ITmedia News
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0804/23/news034.html
 
子どもの掲示板やSNS利用、ネット苦手な親ほど心配 - ITmedia News
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0804/22/news085.html
 
「青少年ネット規制法に反対します」――MIAUとWIDEプロジェクトなど共同声明 - ITmedia News
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0804/22/news116.html
 
小寺信良:臭いものにフタをしても、何一つ解決しない (1/3) - ITmedia +D LifeStyle
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0804/14/news007.html
 
※おまけ:直接は関係ありませんが、児童ポルノ規制の問題を題材にとても良作なコンテンツを見つけましたのでご紹介。
 
つくろう! 逆転裁判 児童ポルノ規制裁判第4版
http://player.pc-saiban.jp/view/play?sid=997
 
理不尽な規制には、“ノー”を言いましょう!

「んー。何か言ってるけど、児童ポルノの話じゃないの?」という人は、ちょっと遅れてる。
既出のリンク先から引用しよう。
 
臭いものにフタをしても、何一つ解決しない小寺信良ITmedia

多くのネット住民およびジャーナリストの努力により、児童ポルノ法改正案の根拠がグダグダなのが明らかになったわけだが、今度はまた新しく物騒な法案が自民、民主両党から提出されようとしている。自民党案では「青少年の健全な育成のためのインターネット利用による青少年有害情報の閲覧の防止等に関する法律案」となっているが、長いのでここでは便宜的に「青少年ネット規制法案」と呼ぶことにする。

……てことで、児童ポルノ法とは別物で、どっちかというと、ケータイ・フィルタリングの話の延長。
 
だから、毎回、毎回、言うことが同じになっちゃう。続けて引用すると、

有害情報に触れなければ、青少年は健全に育つのだろうか。これは児童ポルノ法改正案の時と同じ論理で、表現を見たことと、実際にそうなることの相関関係は、いまだ証明されていない。仮に18歳未満では健全でも、18歳になってフィルタリングが外されたとたん、有害無害入り混じったネットの世界に放り込まれることになる。これまでなら経験によって築かれた情報リテラシーによって自ら判断できたところが、その耐性がゼロのままでそんな世界に解き放たれることを考えると、親としてはそっちの方がよっぽど危ないと思う。18歳を過ぎたって、親にとっては子供でなくなるわけではないのだ。
この法案は、根本的に子供を育てるという視点が欠如している。有害情報の有害性は、それを見たことで発生するのではなく、有害であることを知らずに実行してしまうことで発生する。つまり判断材料としての経験が不足しているから、それを実行した場合の社会的影響や善悪の判断ができないわけだ。従って単に有害情報を見せなくするのは全くの逆効果で、「こういう情報がなぜ悪いか」を分からせることが重要なのである。

フィルタリングは必要かもしれないが、それ以上に必要なのは、教育だということで。
……はて、前にインターネットではなく、マンガの話で有害だの無益だのって話を見たような、引用したような……あぁ、これか。
 
対象がマンガだろうが、TVだろうが、結局、偉い人の言うことは「何もかも、メディアが悪い。規制すれば上手くいく」ですかい。
 
 
ちなみに、児童ポルノ法改正案が、消えてなくなりそうかというと、そんな気配はない。
ネットから児童ポルノ遮断、接続業者に義務化…与党改正案(読売新聞)

現行の児童買春・児童ポルノ禁止法は児童ポルノの売買や譲渡は処罰の対象としているものの、ネット上から児童ポルノをパソコンや携帯電話に取り込む「単純所持」は処罰されない。警察庁の委託を受けた団体が削除要請をしているが、強制力はなく、応じないケースも多い。
与党PTは、同法改正案に単純所持に罰則を科す方針を打ち出していた。しかし、これだけでは単純所持の摘発対象者が多すぎて捜査が追い付かず、児童ポルノを見ようとする利用者も減らないため、与党PTは、サイトそのものを見られなくする措置が必要と判断した。改正案は、プロバイダーに努力義務を課す方向で調整している。与党PTは2日に大手2社の意見を聞くなど具体的な実施方法の検討に入る。

児童ポルノ「単純所持」に1年以下の懲役も…与党チーム(読売新聞)

単純所持はこれまで禁止されていなかったが、インターネットなどでの流出に歯止めをかけるため、罰金だけでなく懲役を科すこととした。現行法は、児童ポルノの提供者に「3年以下の懲役か300万円以下の罰金」となっている。
一方、児童を描写したアニメやコンピューターグラフィックス(CG)の所持禁止や、ネット利用者が児童ポルノサイトに接続できなくなる「ブロッキング」制度の導入については「国が調査、研究を行う」とする付則を盛り込み、今後の検討課題とした。

 
この辺のニュースの意味が分からない人向けに、まとめWikiが出来てます。
 
単純所持規制の問題点2008年児童ポルノ法対策@wiki

・まず始めに前回でも指摘されていた通り、単純所持規制の問題点のひとつとして警察による 別件逮捕や家宅捜索等の恣意的運用による捜査権の拡大の危険性 が指摘されています。
 
現に前回の改正においてはこの点において野党が反対し、単純所持規制が見送られたという経緯がありました。
また例え冤罪であっても性犯罪で容疑をかけられてしまった時点で社会的に抹殺がなされてしまう点も問題です。
 
・現行法においては 法律の適用範囲が18歳未満と成人女性と見分けがつかない年齢と非常に高い点
また (児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律 第二条) における(三、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したもの)と言う 曖昧な定義も含まれているために非常に広い範囲に適用できてしまう事による危険性 もあります。
 
・次に今回の規制を推進しようとしている理由としての画像の拡散についてですが、この点は現行法でも取り締まる事は可能であり、新たに法律を作る理由にはなりません。
・そして今回の規制についてはアメリカの年次報告書などによる外圧によるものもありますが、日本においては売買を禁止する法律がない点を指摘されているのでこの点においては非合法組織との売買の禁止を制定すれば良いだけであり、恣意的運用の可能性の高い単純所持規制を導入する理由にはならないでしょう。
 
また既に 児童ポルノの単純製造や譲渡は禁止されていて、よく言われる流通が押さえられていないというのは立法上の不具合ではありません。
 
そして何より現行法で対処可能である点から見ても彼らの主張が以下におかしい点などが非常に多いことも注目すべき点ではないでしょうか?
 
このことにより、少なくともこれ等の問題点がある点と推進しようとしている理由自体現行法や他の手法で十分な点がある事からも安易に単純所持自体を規制するのは非常に危険な事であり、単純所持処罰をいれる必要はどこにもありません。

要するに、法律は既にある。ただ、取締りが間に合ってないだけ。
「如何にして取締りを強化していくか」が問題なのに、「罰則を強化しよう」というのは、もう根本がズレてる……って、これも何回同じこと書いてるんだろう。
 
上の引用文にある、「アメリカの外圧」ってとこで首をひねってる人もいるだろうから。
時系列的には、先の読売新聞の記事から、ちょっと前の話。
 
児童ポルノ:駐日米大使、「単純所持も処罰」を要請毎日新聞

米国のシーファー駐日大使は22日、町村信孝官房長官首相官邸で会談し、児童買春・児童ポルノ処罰法改正を巡る「単純所持」について「所持を処罰するという項目が重要だ」と述べ、日本政府が罰則規定を盛り込むよう求めた。町村氏は「日本でも立法措置が検討されている」と、与野党で法改正に向けた動きが起きていることなどを説明した。
シーファー氏は会談後「この問題は国際問題。日本もこの問題をちゃんと進めたいと思っている、と考える」と記者団に述べ、日本の対応に期待感を示した。【木下訓明】

なぜか、アメリカが期待している。
 
また、日本ユニセフ協会(=世界的な「ユニセフ」とは別団体)が始めたキャンペーンに、ユニセフが支持を表明した。
ユニセフ東京事務所(日本・韓国兼轄)代表からのメッセージ日本ユニセフ協会

ユニセフ東京事務所は、2008年3月11日より日本ユニセフ協会ユニセフ日本委員会)が実施している「なくそう!子どもポルノ」キャンペーンを心より支持します。

 
まとめると、論拠はグタグタで、別件逮捕かネットの思想統制が目的だとバレバレだと言うのに、法案改正を誰も諦めていない。
 
何ていうか……こいつはパンクだ。
私が言うパンクはサイバーパンクだけど。