攻殻のSACの変なとこ

昨日のエントリのコメントにレスを書いてたら、長くなったので、エントリを起こす。
 
>一度受けた敵の攻撃を即座に分析し、テンプレート化してしまう
 
そういう知識共有の高速化を、昔はWEB2.0と言って持て囃していたような(今もか)。
 
改めて考えると、攻殻スタンドアローンコンプレックス(以下、「SAC」)は、記憶の並列化による「動機」の共有化は行っていたけど、目的達成のための「手段」の共有化を行っていなかった。
母体・リーダー・共通点を持たないスタンドアローン同士が同時決起する、という、物語として明確なストーリーラインを示していたものの……より原始的な段階のはずの、手段の共有化を行わないのは、これはこれで変な話。
単に「模倣犯」と括るには話が違うんだよね。
なぜか、単独犯行に拘っていた。自分の得た知識を公開せずに、断罪を行った……「笑い男」の性格的なものが展開されたのかもしれないけど、それは「記憶」ではないはずで。
 
  
これは昨日の上手くエントリに絡ませられなかったんだけど「基本無償の行動」「善意のみだけで連携を組む」とか、かつての学生運動などにも存在したのだと思うし、韓国の反日運動とか見てると、決して、目新しいものではないと思うんだわ。
実際、韓国の狂牛病騒ぎは、下記のようなメディアリテラシーの欠如が暴走を生んだ。
 
ケータイが伝える米国産牛肉反対デモの「嘘」と「真実」(佐々木朋美/ITmedia

「5月17日、全国の中高校生は団体休校してデモに参加すること」
「(狂牛病)牛肉を、0.01グラムでも摂取すれば死亡」
「×××ブランドの食品を、10日間食べないこと」
「大統領を弾劾しよう」
「韓国政府、独島(日本で言う竹島)を放棄」

まぁ、これはSACというより、集団ヒステリーに近い気はするけど。
 
でも、こういうのも、昔からあった。
口裂け女」「ミミズバーガー」のような都市伝説……「友達の友達から聞いた話」として、コミュニティを通して緩やかに流れてきていた。
あるいは、チェーンメイルによって……オフラインのハガキの時代、草の根BBSの時代、パソコン通信時代、ホームページの時代、Blogの時代、Mixiの時代、ケータイの時代……常に、メディアリテラシーに疎い「新規参加者」が、まさに善意によってチェーンメイルを伝達させる。

ただ、それがウェブによって物凄い勢いで広がる。「変だな?」と思う間もなく、広がっていく。
それは「新規参加者」が「既存参加者」より常に圧倒的に多いからなのか、そうじゃないのかは、ちょっと分からないが……。
 
なんにしても、「やらない善よりやる偽善」では、意志を持つ誰かに利用されるだけ。
何事も自分で考え、行動しなければならない……せめて、リアルでは。
なにせ、攻殻世界の恐ろしいとこは「記憶を作り変えられる」こと。何を考え、なぜ行動したのかも、ハッキングによって分からなくなってしまうことがありうる世界。
別のマンガ「成恵の世界」では、逆に「記録が作り変えられてしまう」のだけど……どちらの世界の方が、より恐ろしいのだろう?