紡錘陣形にて突撃

まだ土曜日ですが、今日は時間があるので、アルバートさんのエントリーみて、つらつらと考えていたことについて、日曜日の日記として書いてみます。
なお、アルバートさんとこの趣旨は、「ゲームというのは味付け一つで大きく面白さが変わる」という点なので、以下の話はあんまり関係がない。
私は話にあがってたMMORPGにおけるZOCの概念について考察してた。
 
RF Onlineでもそうだったけど、大規模戦闘において、攻撃側の突撃を防衛陣は阻止できない。なぜなら、いくら密集陣形を作っても、その間をすりぬけちゃうからで。ダメージを叩きだして殺さないと、相手の足が止まらない。
小規模な戦闘の話にしても、パーティ狩りしてる時に。後衛のヘイトが溜まりすぎて、モンスターが前衛を無視して後衛に駆け寄っても、前衛は物理的には突破を阻止できない。もちろん、その為に、タウント(威嚇)という技があり、ホールドラインという攻撃対象に自動威嚇するアーツがあるんだけど、対人戦も考えると根本的な解決じゃない。
2Dのゲームの代表としてROあたりを例にすると、範囲魔法&移動封印魔法で突撃をシャットアウトする、というのが定石らしい。つまり、ここでも前衛は突撃を阻止できてない。
 
この辺、アルバートさんは、ZOCを導入して、戦闘中は戦士の周りに進入不可エリアを展開、敵の突破を阻止するシステムはどうか、という提案をしている。
私は賛成できない。
 
ZOCというのは、元々、ターン制のシミュレーションゲームで導入されていたもので。
自分のターンは相手が微動だにしないからって、停止している敵防衛陣のど真ん中を突き抜けて、それで無傷っておかしくないですか、そもそも通り抜け出来ていること自体がおかしくないですか、という発想から生まれたものです。
TRPGでも、「1人の戦士が、敵を押しとどめておけるのは、せいぜい二人」とか、GM判断でやってることが多いし。システム的に整備されていて、「接近戦してる連中」をひっくるめて「エンゲージ」という概念でまとめてしまい、エンゲージからの離脱・突破は運動系スキルで判定を行って、対抗勢力に勝たなければならない、とかいうゲームもある。こういうのも広義でZOCとしてしまおう。
 
しかし、リアルタイムで動き回るMMORPGに導入するのは、かなり違和感があるんですよ。ZOCは、相手が微動だにしないのはおかしい、という矛盾から出てきた概念だから。
他の敵の相手に忙しい奴が、間をすりぬけようとするスカウトを押しとどめるなんて、できっこないんじゃないか。馬乗って突撃してくる奴を、どすこーい、と戦士が盾で受け止めていいものなのか。
それは、「そんな世界観でいいんですか」という疑問につながる訳です。
 
いや、ここで、スカウトを止めることが出来る、というのも一つの解なんですよ。つまり、戦闘中は忙しいように見えて、実は、スカウトのすり抜けを防ぐぐらいの余裕はあるから、戦闘能力を落とさずに威嚇で押しとどめることが出来る、とか解釈は出来るわけ。
そういうこと言い出すと、RF Onlineのように、攻撃陣が防御陣をすり抜けちゃうのも、攻撃陣にヒットストップ能力がなさすぎるのが原因な訳で、それはそれで一つの世界観だと思うのですよ。
剣も魔法も、どんだけダメージ与えても、相手の移動能力を落とすことが出来ない・・・それは、そういう世界観なんだから、仕方ない、と。
 
ここで、たとえば、殴られてある一定ダメージを喰らったら足が止まる(でも戦闘行為に支障なし)とか導入すると、どうなるでしょう。
剣が届かない範囲をすり抜けられるのは、やむないこと。剣が届く範囲をすり抜けられるようなら、必要な打撃を叩きつけろ、と。
別の敵に剣を振り回して忙しいなら、スカウトを押しとどめるのも大変だろうけど・・・シールドアタックとか、体当たりとかのアクティブスキルはダメージに関わらず足を止める、という効果にして、一瞬だけスカウトを狙って叩きつける、というシステムにしたら、どうなるでしょう。
 
確かに戦闘が大きく変わる。
防衛陣を突破しようとした敵は、すかさず、シールドアタックで足を止められ、後ろから切りつけられる。足を止めている間に防衛陣は戦線を構築する、と。
重騎士は突撃前に「不屈」というアクティブスキルを起動することでこれに対抗、相手のシールドアタックを無効化する。スカウトは「突破」というスキルで体当たりをかいくぐる・・・けど、どちらも、一瞬だけ、動きを止める、というのはどうだろう。
その動きを止めた僅かな瞬間を捉えて、メイジから攻撃魔法が飛ぶ。魔法で大ダメージを喰っても、そこで足が止まる、というのも良いだろう。対抗して、重騎士は「根性」というスキルで(以下略)
 
そこまでして突破を目指すメリットは、後衛のメイジやヒーラーへ直接打撃が出来ること。魔法ダメージはともかく、ある程度の物理ダメージが入ると、呪文詠唱がキャンセルされる、とかの仕様が必要だろうけど。
つまり、メイジは砲台であって、ダメージ源になるけど。一旦、近接戦闘に持ち込まれると、魔法は使えない、移動も封じられる、死ぬだけ・・・という、貧弱極まりない存在となる。
それが嫌なら、メイジも鎧を着込めと。何かのペナルティ・・・例えばMPの最大量の激減とかを覚悟しても。あるいは、MP消費の大きいアクティブスキル「集中」で耐えろ、と。
 
この辺のアクティブスキルでの対応は、ゲームがラグいと話にならんですけどね(笑)。
近くを移動しようとした敵の動きを自動的に押しとどめる代わりに、攻撃のインターバルが長くなってしまう、とかのスタイルチェンジが出来れば、だいぶ、いい感じで機能すると思います。
 
なお、この仕様は、数の暴力が更に暴力になるんで、それが望むべきところかどうかは、ゲームデザイナーのセンスですな。
更にモンスターも同様の能力を持つと・・・厄介ですねぇ。逃げるにしても突破するにしても、足を止められてしまいますので。後衛のスペルキャスターを優先的に攻撃したり、マズいと思って振り返って逃げる、ということが出来なくなる可能性があるので。
 
・・・面白いのかも。